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4月の風物詩・山形の郷土料理「孟宗汁」(No.17)

COLUMN
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4月もそろそろ終わり。

見頃を終えた桜も今は葉桜。薄桃色から主役は若々しい緑色です。
今年は例年より開花が早く、満開の時期は終わってしまいましたが、庄内地域には、たくさんの桜の名所があることをご存じですか?

例えば、日本のさくらの名所100選にも選ばれている鶴岡公園。
ここには、700本以上のソメイヨシノが咲き乱れます。
鶴岡市を流れる馬渡川には樹齢80年ともいわれる桜並木があり、淡いピンク色の桜の回廊は、我が庄内が誇る霊峰月山、秀峰鳥海山に囲まれた最高のロケーションとして親しまれています。
4月の風物詩、やわらかな暖かい日差しのぬくもりを感じながらのお花見を楽しんだ並木道。

桜の花びらが少しずつ散り始め、木々に若葉が芽吹く頃、庄内には少し遅めの春のご馳走が訪れます。
この時期に旬を迎える食材―たけのこです。
たけのこは春を連れて南からだんだんと北上し、最後に辿り着くのがここ庄内地方。
庄内でたけのこが出るのがちょうどこの頃。
孟宗竹という北海道以南に分布する私たちに最もなじみ深い種類のたけのこです。
そして、私たち庄内人は、この孟宗を伝統の調理方法でおいしくいただきます。
孟宗竹を使った山形の郷土料理「孟宗汁」。採りたての色白で柔らかく風味豊かな「旬」を味わいます。

この孟宗汁、庄内地域では、孟宗が店先に並び始めると街中に香りが漂うと言われるほど誰もが知る家庭料理です。
酒処である庄内ならではの酒粕を使って、具には厚揚げ、しいたけ、豚肉などを入れるのが一般的で、春の味覚として欠かせない一品。
酒粕を使った筍のみそ汁といえばイメージしやすいでしょうか。たけのこのサクサクとした歯ごたえと、素朴で親しみ深い風味。これを食べずして庄内の春は語れません。

中でも、鶴岡市の湯田川温泉周辺は「湯田川孟宗」の産地として有名で、シーズン中は直売所には朝から行列ができるほど。
ここでは4月下旬から6月初旬にかけて「孟宗まつり」が開催され地元の人だけでなく県外からも多くの人が訪れます。
私のおすすめは?孟宗竹で地酒をお燗した「かっぽ酒」をお供に。竹の香りと甘みが孟宗汁と相性抜群です。

この時期にしか味わうことのできない庄内の郷土料理。
春のぬくもりがたっぷりのやさしい一杯です。

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