アトリエ玄米デカフェ|atelier GENMAI DECAF

日本の原風景に出会う―水田に浮かぶ美しい水鏡 (No.18)

COLUMN

黄色の絨毯を広げたような菜の花畑。その先にはうっすら残雪を被った月山を眺めます。
春風が心地よい5月。ここ庄内の田園一帯には、この時期だけの美しい光景が広がります。水が豊かで、夏場の日照時間が長く、昼夜の温度差が大きい庄内平野は日本有数の穀倉地帯、お米作りにとても適した場所です。

遡ること奈良時代初期712年。出羽の国が置かれ、「柵戸(さくこ)」と呼ばれる開拓者が庄内にやってきて田んぼづくりに本格的に取り組んだところから庄内平野の米作りの歴史が始まったと言われています。
江戸が大飢饉に襲われたときに庄内のお米を大量に運び、江戸の危機を救ったという逸話があるほど。米農家さんたちは、夏になると庄内一帯に吹く季節風を「宝の風」と呼んでいるそうです。
昔から今に至るまで米作りは庄内にとって大切な宝、私たちがおいしいお米をいただけるのは、恵まれた自然条件だけでなく、お米を一生懸命作ろうとする農家の人たちの思いがあるからなんですね。

そんな、農家さんの思いが詰まったお米作りは、種籾から収穫まで1年がかり。
真冬の1月から春の足音が聞こえ始める3月くらいまでの間には、おいしいお米を作るための土台となる土づくり。お米の苗を元気に育てる準備期間です。
少し暖かくなる4月には、ビニルハウスの中で丁寧に苗を育てます。
そして、5月。田んぼには一斉に水が引かれ、いよいよ田植えの時期を迎えます。
豊かな雪解け水を満面に張り巡らした長方形の田んぼは、まるで空に浮かぶ雲を映す鏡のよう。
夕方、夕日が水面を覆う橙色の言い表せないほどの美しさは、見る人の心の中まで美しく染めてくれるような気持にさせてくれます。

 

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